
食品について、酸性、アルカリ性という言葉をよく耳にすると思いますが、これは2つの違う意味で使われており、それが混同されてしまう為に、よく誤解を生んでしまいます。
その2つの違う意味とは、@水溶液の性質としての酸性、アルカリ性、A栄養学的に言う食品の分類としての酸性食品、アルカリ性食品、です。
@の水溶液の性質としての酸性、アルカリ性とは、理科の実験などでおなじみの、リトマス試験紙で赤くなれば酸性で、青くなればアルカリ性という、あれです。
難しくいうと、水溶液中の水素イオンの濃度によって決まる性質で、これが多いと酸性、少ないとアルカリ性で、丁度まん中が中性です。食品という観点で単純化すると、「酸っぱさ」の目安みたいなものです。中性から酸性になっていくとどんどん「酸っぱく」なるわけです。アルカリ性はその逆方向ですが、これを味で表現するのは難しいです。(一般に「液の性質でいう」アルカリ性の食品はほとんどありません。)
これを数値で表したものに、pH(ペーハー、或いはピーエッチ)があり、1〜14の数値で表され、7が中性、それよりも数値が低くなるほど酸性の度合いが強く、逆に7から大きくなる程アルカリ性の度合いが強くなります。
〜この意味では、お酢は「酸性」の性質を示します。〜
一方、Aの栄養学的に言う酸性食品、アルカリ性食品とは、食品を燃焼して残った灰分について、それが(@の意味で言う)酸性を示すかアルカリ性を示すかで分類したものです。食品中にリン、イオウ、塩素などの陰イオンが多ければ酸性を示し、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの陽イオンが多ければアルカリ性を示します。
〜この分類によると、お酢は「アルカリ性食品」になるのです。〜
この分類で、食品中に含まれるミネラルの種類や量を、ある程度目安的に知ろうというのが、酸性食品、アルカリ性食品の意味ではあったようですが、今、栄養学の分野で、こうした分類はほとんど語られる事がない、いわば、「過去の遺物」とも云えます。
これが何故か健康を謳った食品の分野では根強く生き残っており、「アルカリ性食品だから体によい」などという言われ方をされているのはよくご存じの通りです。
確かに酸性食品の代表格として肉類、卵などがあり、一方アルカリ性食品では野菜、海草、果物などがありますから、一見してどちらが体によさそうかといえば、アルカリ性食品だと思ってしまいがちです。食生活が欧米的になり、肉食中心に偏りがちな状態では、アルカリ性食品といわれるものの摂取を心がける事は健康の一助にはなるかも知れません。
しかし、だからといって酸性食品は体に悪くてアルカリ性食品は体によいといった見方で食生活を考えると、却って健康を損ねる事にもなりかねません。アルカリ性食品ばっかり摂っていて、肉を食べないと栄養不足になってしまいます。
要はバランスの問題で、酸性食品、アルカリ性食品という言葉に惑わされずに、栄養素、ミネラルをバランスよく摂取する事が大切でしょう。
ところで、お酢をアルカリ性に変えられないかとの事ですが、単なる化学反応で考えますと、アルカリ性を示す物質、例えば苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)なんてものを加えていくと、徐々に中性になり、(いわゆる「中和」です)更に加えていくと、液はアルカリ性を示すようになります。
しかし食品としてみると、水溶液の性質がアルカリ性を示す「お酢」(それはもう、お酢と呼べないでしょう)なんて、全く意味がないと思います。
お酢は、「酸性」であるからこそ、食生活に役立つ部分が非常に多い調味料です。
(食品の保存、食欲増進、疲労回復、その他様々な調理効果)
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